いつも残念に思っていることがあるのです。
お店に備長炭ふうりんを買いに来られたお客様が、 量り売りの紀州備長炭 を見て、ぼやいておられました。
「やっぱりいい炭だったらおいしく焼けるんですか?この間バーベキューをした時、ものすごくいいお肉を買って持っていったのに、しっかり焼いても生焼け状態で全然おいしくなかったのです」
あ~~~ぁ、やっちゃいましたね。
バーベキューをするなら、高級炭を使うほうがいいんですよ。それを知らないでバーベキューをするなんて、損しているような気がしてなりません。
実は私もあまり炭火を使ったことが無い人だったのですけどね、新しいスタッフが入ってきた時に、うちの紀州備長炭を使って家で炭火焼きをしたという話を聞いて、驚きました!
そのスタッフは、しょっちゅう家で炭火焼きをしているお家の人で、いつも炭を買うのはホームセンターで売っている『黒炭』と呼ばれる安い炭。でも、せっかくいい備長炭を売っているウチのお店で働いているのだからと、紀州備長炭を買って帰って、いつものように炭火焼きをしたんですって。
すると、
「火はつきにくいけど、火力が全然違うし、なにより、焼いた魚の味がぜんっぜん違うんです。なんで早く知らなかったんだろう。これから炭火焼きをする時は絶対いい炭を使います!」
と、大興奮。
そう、火がつきにくいのは備長炭の唯一の欠点。でもこれも、最近ようやく解消できる方法がみつかりました。お店によく買いに来られるお客様が、誰にでも出来る簡単な着火方法を研究して教えて下さったのです。
さすが研究されただけあります。私のようにあまり炭火を使うことがない人にでも手間無く簡単に着火できるようになりました。素晴らしい!
そう、火がつきにくいのは備長炭の唯一の欠点。でもこれも、最近ようやく解消できる方法がみつかりました。お店によく買いに来られるお客様が、誰にでも出来る簡単な着火方法を研究して教えて下さったのです。
さすが研究されただけあります。私のようにあまり炭火を使うことがない人にでも手間無く簡単に着火できるようになりました。素晴らしい!
他にも、こんなスタッフもいました。
親戚一同20人ほど集まる大人数でのBBQ大会があって、いつもは8時間ぐらいずっと火をつけっぱなしにするから、安い黒炭なら20kgほど買い込んでも余らないぐらい。
紀州備長炭は火持ちがいいからと思って、やや少なめに10kgほど持って行ったら、それでも全部使わなくて、余ってしまったんですって。
「いつも大きな箱を積んで持っていくのに、たったこれだけの量ですむなんて。長い時間するんやったら、高い紀州備長炭を持っていった方が安いです!!」
「いつも大きな箱を積んで持っていくのに、たったこれだけの量ですむなんて。長い時間するんやったら、高い紀州備長炭を持っていった方が安いです!!」
と、熱弁してくれました。
同じ1kgでも、紀州備長炭だと火持ちは約3時間、これが黒炭だと1時間半ぐらいで燃え尽きてしまうのです。火持ちの時間は倍ほど違います。
他にも理由があって、
「いつもはすぐ燃え尽きてしまうから、炭の火をチェックして継ぎ足したり、燃え尽きた灰をかき出す『火の番人』が必要だったのに、紀州備長炭は灰が出にくいし、火持ちが長いから、放っておいても大丈夫。火の番要らずなんです」
そしてきわめつけはこれ!
「持って行ったのは、スーパーの安いお肉ばっかりだったんですけど火力が強いんでしょうね、パリッとおいしく焼けて焼肉屋へ食べに行ったみたいでした。みんな「すっごくおいしい!」って大好評!残ったお肉や野菜は、もったいないから全部焼いて持って帰ってましたよ」
そんなことを言われたら、炭火の違いでどれだけ食べ物の味が違うのか、気になってきませんか?
炭の違いで味比べを、実際にやってみました。会社の中で、3種類の炭を使って炭火焼き餅実験。
使った炭は、紀州備長炭、中国産の備長炭、インドネシア産の黒炭です。
お餅はどの炭で焼いても、見た感じはこんがりキツネ色。漫画のようにぷく~と膨れてどれも見た目は美味しそうでした。
でもね、味が違ったのです。私だけじゃなくて、おすそ分けした職場の人にも味比べをお願いしたのですけど、やはりみんな味が違うと言います。違いは香ばしさ!おせんべいのような香ばしい味がしたのは、なんと、紀州備長炭で焼いたお餅だけだったのです!
中国産と紀州産は、同じ備長炭なのに、こうも味が違うなんて思ってもみませんでした!
この話を、仕入先でもある炭問屋の人にしたら、こんなことを言われました。
「中国産と紀州産? そりゃ~全然違いますよ」
いかに安定したいい炎を出せるか。そのために、炭焼き職人さんは、いい炭を焼けるよう日々努力されています。
以前、こんなことをたずねたことがあります。
「職人さんは、備長炭をどんな風に使ってもらいたいのでしょう?」
すると返ってきた答えは、
「燃やして欲しいんですよ。炭のよさは燃やした時に一番違いがよくわかるから」
正直、意外でした。
長い炭も、細い炭も、残念ながらインテリアとして飾るための形の美しさという感覚は全くありません。全ては安定した、いい炎のために。
まっ黒で、地味で、手が汚れて汚い、そんなイメージがある炭ですが、たかが炭、されど炭です。炭焼き職人さんの技は、プロで強い火力が必要な職業用、素人が簡単に着火できる用等、素人が見た目ではわからないような違いが黒い塊に詰まっています。
焼いて食べればわかるこの違い!
いい炭を使って美味しい炭火焼を楽しんでいただきたいものです。
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